私達の生命活動を支えるミネラル
人間の生命活動は、多くの栄養素で維持されています。栄養素は炭水化物、タンパク質、脂質(脂肪)の三大栄養素と、ビタミン、そしてミネラルの5つに分けられます。5つの栄養素は、その働きの面から次の3つに大きく分類されます。
- 身体をつくる材料
- 細胞の活動のエネルギー源
- 代謝を円滑にし、身体の働きを調節するもの
おもにタンパク質が材料に使われます。脂質の中にも必要なものがあります。
エネルギー源になるのは、おもに炭水化物、脂質、タンパク質。
人間は食物を胃や腸で消化分解し、必要なものは体内に吸収し、不必要なものは対外に排出しますが、これは代謝によるものなのです。代謝を円滑にする役割を果たしているのが酵素(タンパク質)で、この酵素の働きを助けているのがビタミンやミネラルなどです。
ビタミン(一部を除く)とミネラルは、体内でつくることができません。食物から摂取しなければならないのです。
ミネラルは、英語で鉱物の意味で、日本語では無機質といわれ、人間の身体をつくる主要な元素である酸素、炭素、水素、窒素を除いた元素のことです。人間の身体の約97%はこの4つの元素からできていて、残りの3%ほどがミネラルと呼ばれる元素です。
地球上には約100種類の元素があり、現在分かっているだけで、23種類以上が、人間が生きるために必要な元素といわれています。それを必須元素と呼んでいます。
必須元素は、比較的必要量の多いカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン、硫黄、塩素の準主要元素と、鉄、銅、亜鉛、ヨウ素、セレン、マンガン、モリブデンなど必要量の少ない微量元素があります。どの元素も窒素に比べれば、体内に存在する量は少なく、カルシウム、リン、硫黄を別にするとごくわずかです。
人間の身体にとって、ミネラルの量は多すぎても少なすぎてもよくありません。理想的な必要量があります。また、ミネラルの多くは互いの相関関係の中で増えたり減ったりして、身体の働きを調整しています。これをミネラルバランスといいます。
このミネラルバランスが、人間の基礎的な代謝を左右していることが明らかになっています。
ミネラルは酵素と結びついて代謝を手助けしているのですが、この酵素を活性化させるのがミネラルです。つまり、ミネラルがなければ、酵素は本来の働きを行うことができず、代謝はストップしてしまいます。ビタミンにもこの働きがありますが、大きな違いは、ミネラルの場合は相互にバランスをとりながら代謝を助けているということです。後で述べますが、カルシウムとマグネシウム、ナトリウムとカリウムのように、ミネラルは体内で一定のバランスをとりながら働いています。
とはいっても、ミネラルは摂りすぎると中毒症や過剰症が起きやすいのです。逆に、ミネラルが不足すると、現代病の高血圧、低血圧、糖尿病、腎臓病、心筋梗塞、脳梗塞などの原因になることも証明されています。すなわち、ミネラルは脳や心臓を守ってくれているといえます。
ある水質調査によると、カルシウムやマグネシウムが少ない地域、いわゆる軟水地域に高血圧や脳卒中が」多いことがわかりました。
日本でミネラルの研究がさかんになるのは1970年代になってから、欧米での研究を受けてのことでしたが、その背景には、ミネラル摂取量が急激に減っていく食生活の変化、化学肥料による土壌中の含有量の低下がありました。
研究が進むにつれ、人間の健康をつくっているミネラルのバランスのすごさ、複雑さが分かってきました。
例えば、マグネシウムが欠乏すると、血液中の脂質が増えて、動脈硬化を引き起こすことがあるといいます。また、ひ臓や肝臓などに鉄が沈着したりします。
あらゆる難病の原因が、ミネラルの過不足にあるという研究者もいます。
毎日、バランスのとれた食事をしていれば、ミネラルのほとんどはまかなえますが、マグネシウムのように食品から充分摂りにくいミネラルがあります。また、虫歯予防に役立つフッ素は、必要摂取量の半分が飲み水から摂られるといいます。したがって、人間の身体にとって、飲み水とミネラルの関係は軽視できない問題といえましょう。
| カルシウム | 600〜700 |
| マグネシウム | 240〜320 |
| カリウム | 2000 |
| ナトリウム | 食塩換算で10g |
| 鉄 | 男10 女10〜12 |
| リン | 700以下 |